この話は、嘘喰いの中でも一番難関なギャンブルではないかと思っています。「暴」パートでもバケモノしかいなかったりと人間ばなれしている人しかいませんでした。
正直、自分でもあまり理解できていなかったのでまとめてみて自分の理解の助けにもなりました。
この話は難解すぎて賛否両論らしいですが私は好きです。
では、解説していきます。暴パートの流れなどは、理解しなくてもドティの部屋でお互いが何を考えていたかの視点で説明していこうかと思います。
概要
- 舞台となった帝国タワーの最上階に設置された入力端末に正しいパスワードを入力し、口座の権利を確保すると勝利となる
- ゲーム開始前、賭郎が双方のプレイヤーに10個の珠が入った箱から好きな数の珠を取らせ、お互いのプレイヤーの取った珠の合計(理論上、2 – 20のいずれか)をパスワードに設定する。
- 入力は網膜認証の後許可される。端末入力のチャンスは一人1回までで、3回失敗するとパスワードは無効化されて賭郎はその時点で撤収、賭けられた搦手と500億は賭郎の総取りとなる。
- 1階にはパスワードの絞り込みを行う為の施設として「血の教誨師ドティの部屋」が用意される。(詳細は後述)
- 暴力行為は1階、及び電波送信機室では禁止。それ以外の場では可。
- 入力端末に対してのパスワード入力以外の行為(破壊・奪取等)は厳禁であり、行われた場合は負けとなる。
- この施設を利用する場合、事前に入場料としてお互いのプレイヤーから血液600mlが採取される。
- 利用するプレイヤーは相手プレイヤーの血が入った輸血装置を装着された上で左右の入り口からそれぞれ入場し、中央の仕切り越しに向かい合って相手の珠の数を予想し、正解のパスワードと思われる数字を答える。
- 回答はターン制で、先攻(ジャンケンで決める)の答えが不正解だった場合、回答権が後攻に移る。後攻も不正解だった場合はターン終了となり、双方ともにペナルティ無しで解放される。
- ターン数はプレイヤー同士で決める。ターン中は扉がロックされ、内部の情報は賭郎立会人以外にはわからない。
- 正解を言い当てるとその時点で勝者側の部屋のロックは解除され、パスワード入力に行くことが可能になる。一方敗者は相手の業を背負うべく相手の血液を600ml体内に注入され、それが終わるまで部屋から出られない。
- 回答のために与えられる時間は各10分であり、それを超えた場合輸血装置から相手の血液が100ml体内に注入される。
- 輸血装置を勝手に外す、自分の所持している珠の数ではありえない合計を答える等の行為は禁止。破った場合はその時点で負けとなる。
- このゲームでの勝敗は本来の勝負には加味されず、あくまで勝者は入力端末に正解のパスワードを入力した者である。
ルール・立会人
- 夜行立会人(弐號)
- 切間立会人(零號)
重要な点
正解パスワード
先に解答を言ってしまいますが、正解のパスワードは「18」です。
獏:9個
捨隈:9個
パスワードを解答する機会
パスワードを解答する機会は二つあります。
- ドティの部屋での入力(ありえない数を入力してはいけない)
- 端末への入力
ありえない数を入力してはいけないというのは、例えば自分の数が8だった場合に8以下を入力してはいけないということです。対戦相手が0個持っていることになってしまうので。
表
理解の助けとなるのが以下の表です。
上段が対戦相手の球数(獏から見た捨隈、捨隈から見た獏の球数)
左列が自分の球数
となっています。

ドティの部屋1ターン目
ドティ1ターン目(獏/入力)
一番初めの入力は運否天賦です。捨隈に対して心理戦をしかけますが、捨隈はものともしません。
ここで獏は一番可能性の高い「11」を選択します。
実際数えてみればわかりますが、この表で一番多い数字は「11」です。獏は確率が一番高い、かつ自分の数字を相手に悟らせない数を選択しました。

ドティ1ターン目(捨隈/思考)
獏が11を選択したことにより、捨隈の選択肢から2が消えます。(捨隈の持っている数字は9であるため、11が外れということは獏が2はありえない。)

ドティ1ターン目(捨隈/入力)
捨隈は「10」を選択します。

ドティ1ターン目終了時(獏/思考)
- 11が不正解ということは、2はない。
- 10が不正解ということは、1と10はない。
ここで、10はない理由としてはドティの部屋ではありえない数字を入力してはいけないからです。
仮に捨隈が10を持っていて、10を選択したとしたら獏は珠をもっていないことになりゲームが成立しないからです。

ドティ1ターン目終了時(捨隈/思考)
- 11が不正解ということは、2はない。
- 10が不正解ということは、1はない。

ドティの部屋2ターン目
少し複雑になります。
2ターン目開始前に、捨隈は雹吾に端末にパスワードを入力するように促します。
入力した数字は、「8」。この入力はエラーでした。
捨隈は、珠数を看破したと宣言しますが、この宣言は誰でもハッタリだとわかります。
ドティ2ターン目(獏/入力)
1ターン目と同様で、可能性が高いかつ相手に数字を悟らせない「12」を選択します。

ドティ2ターン目(捨隈/思考)
まず大前提ですが、2ターン目前に、捨隈は雹吾に「8」を入力させるように促しました。そして、その入力を見ていたマルコが獏と会ったことによって、その数字を知られていると思っていました。(実際は、マルコが数字を忘れていたため知らない)
となると、「8」を下回る数字で「12」を選択した獏の真意は以下のように考えることができます。
- 12-4=8
- 12-5=7
- 12-6=6
- 12-7=5
この4つの数字に絞ることができます。

ドティ2ターン目(捨隈/入力)
上記の思考により、捨隈は「14」を入力します。この勝負のセオリーを考えると14が最善です。

ドティ2ターン目終了時(獏/思考)
1ターン目に加えて、以下のように絞ることができます。
- 12が不正解ということは3はない。
- 14が不正解ということは5はない。

ドティ2ターン目終了時(捨隈/思考)
- 12が不正解ということは3はない。
- 14が不正解ということは5はない。
- 獏の「12」の選択により「4」、「9」、「10」はない。

ドティの部屋3ターン目
ここから、さらに複雑になります。
まず、思考として3つの思考が登場します。
- 獏の思考
- 捨隈の思考
- 捨隈から見た獏の思考
というわけで、3ターン目。
開始直前にマルコは獏に捨隈側のエラーパスを告げます。
エラーパスは「8」。
それを聞いた獏はすぐさま、マルコに「13」を入力するように命じます。そして、なぜかドティでも「13」を入力します。
入力するチャンスが二度あるのになぜ二か所で「13」を選択したか、そこには獏が捨隈に自分が持っている数が「6」か「7」だと思わせたかったという思惑がありました。
捨隈から見た獏の思考
「8」が外れということは、獏の選択肢から「8」、「9」が消えます。(本来であれば)
ここで表の残っている数字を見ると、数字が一つに絞られている箇所があります。それが「6」と「7」。
仮に、獏の持っている数字が「6」か「7」だった場合、この段階で「13」以外の選択肢がありません。
なので、マルコに「13」を入力するように命じ、自分もドティで「13」を選択しました。

本来の獏の思考
獏の本来の思考は違いました。
捨隈の「8」入力をブラフだと見破っていた獏は、捨隈の数字が「8」か「9」ではないかと疑っていました。
しかし、このままでは二択であるため一つに絞ることにしました。そのため、捨隈の思惑に乗っかるフリをすることで数字を絞ることにしました。

捨隈の思考
獏が「13」を選択したことによって、捨隈は獏の持っている数字が「6」か「7」であると確信します。
捨隈が持っている数字は「9」であるため、今の段階で可能性があるのは「15」か「16」。
しかし、まだ選択肢は2分の1であるため、ドティを利用して選択肢を1つに絞る手段に出ました。
ドティで選択したのは「15」。
結果ははずれだったため、正解パスワードを「16」と確信して最上階へ向かいます。
が、結果は外れ。まんまと獏に騙されたということです。

獏の思考
ここで捨隈がミスをしたことによって、数が絞れます。捨隈の数字は「9」。
自分の持っている数字も「9」であるため、パスワード「18」を入力して終了です。
まとめ
いかがだったでしょうか。このギャンブル、ただの数字当てゲームなのにここまで話を広げるのは正直すごすぎる。
というか、ここまで書いてやっと全部わかった。
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